アンビバレンス

皆様こんにちは。本日のリレー日記を務めさせていただきます、総合政策学部4年の小田切伊織です。

早いもので、7月も後半に差し掛かろうとしています。つい1週間ほど前までは過ごしやすい陽気でしたが、急に気温が上がってきており、蝮谷体育館内でも過ごしづらい季節となりました。皆様お体には十分お気をつけてお過ごしください。

また、どうやらこの時期には人間以外の活動も活発になるようで、館内の至る所で虫の姿をよく見かけます。蝮谷ならではの環境ですね。その度に拾って外へ逃がしてやるのですが、逃がそうと裏口を開けるとまた虫が入ってくる。そんなことを楽しみながら日々練習に励んでおります。
そんな出入りする虫たちを見ながらふと思ったのは、彼らはただそこに境界線がないから入ってくるだけであり、そこには何の計算も意図もないということです。翻って私たち人間は、大切な本番が近づくほど、頭の中で様々な戦略を立て、完璧な管理を求め、自らを枠組みの中に閉じ込めてしまいがちです。

来月、8月24日には私にとって大学生活最後の大一番、17年の体操競技生活の集大成にあたる全日本インカレが控えています。最近は不調続きでこのまま試合を迎えることへの不安や葛藤に悩まされています。さらにそれに追い打ちをかけるように、外部からの想定外の出来事も容赦なく入り込んできます。当たり前ですが、人生において関わるすべての要素を完全にコントロールすることは不可能です。
結果を出したいという強い執着と、コントロールできない現実を受け入れる諦念。あるいは最上級生としての責任と、ただ純粋に楽しみたいという衝動。最後の本番を目前に控えたいま、私の心にはこうした相反する二つの感情が同時に存在してしまっています。まさに両価的な状態と言えるかもしれません。

以前の私であれば、この矛盾する感情のどちらか一方だけが正解であると考え、無理に片方を排除しようとしていました。しかし、どれだけ追い払っても裏口から入ってくる虫たちのように、湧き上がる不安や想定外のストレスを完全に消し去ることはできません。大切なのは、この両価的な感情の狭間で引き裂かれることではなく、その両方を抱えたまま舞台に立つ気持ちなのではないでしょうか。規律と自由、重圧と高揚感。そのどちらもが、17年間の集大成を迎える私にとっても、慶應義塾体育会器械体操部で過ごす一部員としても、等しく価値のあるものです。

さて、ここからは少し視点を変えて、「心が躍っている」ということをお話しします。どちらかといえばこちらが今回の本題ですので、ぜひ読んでいただければと思います。

昨年の10月に代交代をし、これまで約9か月間、部のトップとして引っ張ってまいりました。正直なところ、走り出しはうまくいったとは言えず、目の前のやることに常に追われ、何が正しいのかもわからず、体育館に行く足取りが重くなってしまったときもあったような記憶があります。関係各所の皆様にも多大なるご迷惑をおかけし、自分の無気力さに絶望し、嫌になり。思い描いていた理想の主将像とは違う部分も多いですが、今になってようやく、自分が胸を張ってやってきたといえることが芽生えたような気がします。

器械体操のコミュニティという枠組みに限った話をしますと、自分には同期がいません。

周りを見渡せば、上を見ても下を見ても、お互いに支え合いながら仲がよさそうにしている姿が目に映ります。少しばかりの羨ましさを感じることもありました。そんな見えない境界線に孤独を感じることも多かったように感じます。それでも、自分なりに理想を掲げ、それを実現できるように努めてきたつもりです。正しいかどうかも分からない私の方針や指針を信じ、ついてきてくれたのが、今の部員たちです。主将としてチームを引っ張っているつもりでしたが、実際は、ついてきてくれる彼らの存在そのものに、私の方が何度も救われ、助けられていたように感じます。

気がつけば、かつて私一人で背負い込もうとしていたチームは、後輩たち一人ひとりが主体的になり、それぞれの場所で輝き、私を、そして124代というチームを前へと推し進めてくれる存在になっていました。
今の私には、真面目に課題に向き合い、驚くほどの急成長で驚かせてくれる部員たちがいます。彼らのまぶしい輝きを見つめ、その先頭を走らせてもらっていること。これこそが、最近になって私がようやく見つけた、胸を張ってやってきたと言えることではないでしょうか。この環境こそが「心が躍っている」ということです。今後の彼らの成長が楽しみなほどです。

このチームで挑むインカレはこれが最初で最後です。これまで支えてくださった皆様への深い感謝を胸に、あと1か月、磨き上げてまいります。どうなっているかはまだわかりませんが、自分なりの感動をお届けできれば、と思います。
応援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

長く拙い文章となってしまいましたが、以上で今回のリレー日記とさせていただきます。ご精読ありがとうございました。