ストレスの主観的、客観的評価とベストコンディションへの施策

こんにちは、本日のリレー日記を担当させていただきます、環境情報学部2年の上田乃維です。夏も終盤に差し掛かり、日に日に過ごしやすい気温となってまいりました。皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。

夏休みに入ってからというもの、試合に出場する機会が格段と多くなり、さまざまな経験を積んでいく中で、私は試合前の緊張のコントロールの出来具合に波があるように感じました。そこで本日は試合前の選手の心理状態について、主観的な意見と客観的な評価をもとに、どのようにストレスをコントロールすべきかを考察したいと思います。
はじめに、心理状態の主観的な評価に関して、試合直前の選手にはさまざまなプレッシャーや不安感が襲いかかり、選手が抱えるストレスが増加するということは容易に想像できます。トランポリンの試合に限らず、人生のさまざまな場面で緊張する瞬間があると思いますが、その瞬間のストレスは普段の生活の水準から大きく増加している状態であるということに関して疑問を抱く人は少ないでしょう。試合直前の心理状態の変動については大きく個人差があり、人それぞれの主観的な評価にはブレがあるように感じます。そこで次に、試合前などの緊張状態に心理的なストレスがどのように変化するのかを客観的に見たデータをもとに考察したいと思います。心理状態の客観的な評価については、先日読んだ論文の『国際試合におけるストレスが日本代表トランポリン競技選手の唾液バイオマーカーとコンディションに及ぼす影響*1』より、試合直前の選手には、唾液内のコルチゾール濃度の増加やSIgA(secretory immunoglobulin A)の変化が見られることから、ストレス値の増加が見られる傾向にあることが報告されています。個人差があると考えられるストレスのかかり方も、このようにストレス値を定量化することである程度の傾向が見られることがありますが、この研究のなかでも、決勝に進出できた選手と進出できなかった選手の間には、決勝に進出できた選手の方が、唾液中のコルチゾールの濃度に見られる変化が少なかったことが述べられています。繊細な身体のコントロールが求められるトランポリン競技において、ストレス値の変化と大会での結果の間に一定の関係が見られたことは、大きな証拠の裏付けであるように感じました。
これらのストレスに対する主観的、客観的評価からどのような施策が自らのストレスのコントロールに合っているのかを考えたところ、緊張感をなくす、ストレス値の変化量をなくすという類の対処法は理想論に近く、実現の可能性は低いと感じました。そこで、大会ごとの自分へのストレスのかかり方の傾向を把握した上で、どのような練習やアップの過ごし方をすればいいのかを数パターン試した上で、ベストコンディションを出すことのできるルーティンを作るということが、一つの有効的な対策であるように感じました。自分が結果を出したいと考えている大会から逆算して、これからの大会の意味を熟慮した上で大会に臨んでいきたいと思います。

拙い文章となってしまいましたが、以上で本日のリレー日記とさせていただきます。ご精読ありがとうございました。

参考文献
国際試合におけるストレスが日本代表トランポリン競技選手の唾液バイオマーカーとコンディションに及ぼす影響*1
https://cir.nii.ac.jp/crid/1520291856305429632