過去に学ぶ

こんにちは。本日のリレー日記を担当させていただきます、法学部法律学科3年の森千紗と申します。

外部練習もひと段落し、いよいよ明日から元通りの練習場での生活が始まります。最初は閉塞感しか感じなかった1/3の体育館も今となっては少し愛着が湧いてしまいました。この1ヶ月で得たものを活かして、今後の練習に励みたいものです。

よく、ある物事を一方から見ると良い面と悪い面が見え、視点を変えて反対側から見るとまた異なる良い面と悪い面が見える、という話を耳にすることがあります。2月、蝮谷の工事期間中に出身校であるSFC中高へ練習という形で訪れた際、今までにない視点や気づきを得ることができました。初めて意識的に、別の視点から物事を見るという経験をしたように感じます。近年、SFC体操部からの入部者が増えてきておりますので、現役の視点、卒業生の視点、体育会からの視点から、私たち4人が過ごしてきたSFC中高について、少しでも知っていただければと思います

SFC中高の中等部に所属していた頃、私が見ていたのは、練習に対してはもちろん、練習中・学校内での態度に並々ならぬ意識を持つ先輩方の姿でした。顧問の先生は、競技力の向上について褒めるのではなく、学生生活を送る上での態度に対して評価をしていたことをよく覚えています。当時の私は、先生に褒められたい一心で「誠実な良い生徒」を目指していました。いわゆる、人間力の部分を磨こうとしていたのです。たとえば、目上の人の前を通る際には頭を下げる、先輩が動いていたら走って交代する、後輩には親身になる、目を見て話を聞く、相槌を打つ、先輩からの連絡にはすぐに返信する、など。当時は当たり前のようにこなしていたことですが、今振り返ると、この頃に基礎を築いておいて良かったと感じることばかりです。また、後輩たちとの関係も大きな思い出の一つです。6人同時に入部した中でも、特に庄司、齋藤、千秋の3人は先輩を頼るのが上手く、真面目で、可愛らしく、とても大切な存在でした。SFCの頃、大変なことも多かったはずですが、それでも今もなお体操と関わり続けている3人の姿を見ると、誇らしく、そして嬉しい気持ちになります。

高等部に進学すると、それまで楽しんでいた部活動も、後輩の見本にならなければならないという責任が加わり、より広い視野を持つことが求められるようになりました。しかし、そんな中でコロナ禍が訪れ、部活動が再開された頃には、最上級生として2学年分の入部指導を担当しなければならない立場に立たされていました。当時の私は、競技力の向上よりも、「どうしたら後輩をちゃんとした人に育てられるか」を考えることに頭を悩ませていたように思います。

引退後、久しぶりに部活へ足を運んだ際、自分の指示を待つ人がもういないことに寂しさを感じました。同時に、自分がいなくても部活は滞りなく回っているという当たり前の事実に気づき、部活に行くことに少し気後れするようになりました。それでも、現役時代にたくさん頼ってくれた後輩たちは変わらず部活を続けており、私が顔を出せば熱心に話を聞いてくれました。日吉の練習にSFC生が来たとき、指導を担当してくださった方は感じたことがあると思いますが、言われたことを真っ直ぐに受け止め、なんとか体現しようと努力する姿を見て、改めてSFCの後輩たちを誇りに思いました。

そして先日、合同練習でSFCにお邪魔した際、自分たちが作り上げてきた部活の形が「正解」ではなかったことに気づきました。しかし同時に、その場が自分の成長を確認できる場所になっていることを感じました。9歳年齢が離れた生徒たちと同じ競技を同じ場所で行うことへの違和感と、自分たちが中高生の頃に大学生に感じていた「大人の雰囲気」を、今の自分が醸し出しているという違和感。この二つの違和感に包まれながら、私は少しずつ視点を変え、成長を実感することができたと思っています。

部活というのは、単なる競技の場ではなく、自分の人間性を磨く場所である、という事をSFC体操部にて教えてもらいました。今後もSFC体操部から新入生が続くことを願って、まずは自分がお手本になれるよう励んでまいります。

拙い文章ではございますが、以上で本日のリレー日記とさせていただきます。ご精読ありがとうございました。