Growth always comes with pain.

無から有を生み出すインスピレーションなど、そう都合よく簡単に湧いてくるものではありません。

コツをメモしたノートの山を引っ掻き回し、頭の中でイメージを繰り返し、実際にやってみて思い通りにいかず溜息をつき、あっという間に過ぎてゆく時間を気にし、身体の節々の痛みと戦い、iPadで撮影した映像をAirDropで自分の携帯に飛ばし、そのいずれにも不満を感じ削除し、自己の才能が尽きたらしいと絶望し、それでも黄金色のアミノバイタルを口に流し込み、入念にストレッチをし、食事にも気を使い、風呂では交代浴を繰り返す。決して気力を緩めてはなりません。

失敗の体験も、真に噛み締め味わわなければ次に生きてはこないと思います。失敗を十分味わい、身に染みてこそ、その体験が生き、より深みを増して成し遂げる本当の力となるのでしょう。

鴨長明の『方丈記』の冒頭にこんな一節があります。

“ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし”

簡単に訳せば、こんな感じでしょうか。
“川は常に流れていて、水は常に入れ替わっている。水面の泡も生まれては消えていき、ずっと留まっているような泡はない。これはまさに人も家も同じ”

常に同じものなんてないはずです。同じに見えても、常に変化しているはずです。同じ場所をぐるぐる円を描いて、戻ってきただけな気がして落ち込んでいたとしても、私たちは経験を積んでいる。失敗にしろ、成功にしろ、全く同じ場所ってことはないはずです。つまりは、円ではなく螺旋。一方向から見たら同じところをぐるぐるに見えても、きっと少しずつは上がってるか下がってるかしてるはず。その僅かな変化に気づき、鼓舞するのが今の私の役目だと思っています。

同じところでぐるぐる回りながら、それでも何かあるたびに上にも下にも横にも伸びていく。そうして、私たちが描く円も次第に大きく膨らみ、少しずつ螺旋はきっと大きくなっていくことでしょう。

苦痛はウェルカムなものではありませんが、いざやって来た時には成長の糧として、ベストを尽くし続け、刺激を与えられる人間になってほしいと思っています。

久永 将太