第72回慶同対抗体操競技定期戦 観戦記 

2023年9月23日(土)、同志社大学京田辺キャンパスにて行われました、第72回慶同対抗体操競技定期戦大会の観戦記をご報告いたします。
関係者の皆様は、ForOBOGのページから動画も見られますのでそちらも併せてご覧ください。

まず初めに男子団体観戦記をご報告いたします。
男子団体…伊保内啓佑(法政3)、西尾颯馬(薬3)、小澤智也(文2)、釜屋有輝(法政2)、黒沢星海(理工2)、小田切伊織(総1)

1種目め…床
1番手…西尾
全日本インカレと同様の構成で臨んだ。安定性を重視した構成だったが、練習から上手く蹴りが合わず、前方伸身宙返り〜前方伸身宙返り1回ひねりで手を着いてしまった。大会会場の器具に合わせる能力の重要さを痛感できた良い機会となった。

2番手…黒沢
全日本インカレと同様の構成で臨んだ。1節目の前方抱え込み2回宙返りの開きが早すぎたことで、転倒してしまった。直近の練習でもたまに見られるミスであり、使い慣れてきたからこそ油断せずに同じ感覚で技を仕掛けられるようにしていきたい。この冬を通して空中感覚や基礎動作を徹底的に固めていきたい。

3番手…伊保内
全日本インカレよりDスコアを0.3上げて臨んだ。1節目の後方伸身宙返り3回半ひねりと2節目の後方ムーンサルトは着地が覚束ない実施となったが、その後はほぼ完璧な着地を止め続け、Eスコア7.7を記録した。今後も得意なゆかで安定した得点を稼いでいきたい。

2種目め…あん馬
1番手…西尾
ゆかと同様に安定性を重視し、Dコンバインを抜いた構成で臨んだが、終末技前のBバックで落下してしまった。演技の前半部分が良かっただけに、普段落下しないような技で失敗をしてしまったのは悔やまれる。今後より一層、難易度が向上していく演技の中でも、通し練習を通じて最後までやり抜く力を鍛えていく必要がある。

2番手…釜屋
全日本インカレと同じ構成で臨んだ。全日本インカレでは終末技でミスが出てしまったが、今大会は滞りなくスムーズに通し切ることができた。Eスコアでも8点中盤の点数を出すことができたので、今後はDスコアの向上に努めていきたい。

3番手…小田切
夏の試合と同じ構成を実施した。会場練習時からワンポメル上での旋回に不安定さがあり、本番もそれが顕著に出た結果となった。しかし、従来の課題であった終末技に関してはスムーズに上げ切ることができた。より一つの技に対する理解度を深める練習をしていきたい。

3種目め…つり輪
1番手…釜屋
全日本インカレから中水平を抜いた構成で臨んだ。体力的な不安要素は無かったので、力技の静止時間や姿勢を今まで以上に意識して通すことができた。その結果、Eスコアは8点こそ乗らなかったものの7点後半の点数を残すことができた。今後も力技には徹底して練習していきたい。

2番手…小澤
全日本インカレの構成に前方車輪倒立を加えようと試みたが、体力面での不安があり、実施をすることができなかった。しかし、それ以外は予定通りに通し切ることができた。倒立のふらつきや下りの着地などの抑えるべきポイントはまだあるので、今後は技の練習と流れの中でポイントを抑える練習を並行していきたい。

3番手…黒沢
全日本インカレからけ上がり十字懸垂を抜いた構成で挑んだ。け上がり脚前挙、十字懸垂はグリップや秒数までこだわりを持って実施できた。しかしほん転倒立はやや手前を狙いすぎて前に倒れてしまった。急遽の出場となり通し不足からの不安が大きかったため、一つ一つの技の揺るぎないポイントを流れで掴めるように練習していきたい。

4種目め…跳馬
1番手…伊保内
アカピアンを実施した。着地まで狙った実施ができず大きく2歩動いてしまったが、慣れない環境でもいつも通りの技を跳べたことは自信に繋がった。今後も良いイメージを持って跳躍をしていきたい。

2番手…黒沢
カサマツを実施した。助走の重心を高くしておくことで、蹴りの際にきちんと上からロイター板に力が加わり、気持ちの良い跳躍ができた。着地準備までは大方意識できているものの、準備をしても中々着地を止める、あるいは僅かな1歩に抑えられていないため、入りの姿勢と合わせて、Eスコア9点台を飛べるように努めていきたい。

3番手…小田切
アカピアンを実施した。全日本インカレで着手部分での失敗があったため修正しようとした。この部分については改善できたように見られたが、今回は後半のひねり部分での身体の締まりが弱く、回転不足になり転倒してしまった。前後半のそれぞれに課題があるため、一つづつ見直していく。

5種目め…平行棒
1番手…釜屋
全日本インカレと同じ構成で臨んだ。全日本インカレでは演技後半のチッペルトで器具上落下があったが、今大会ではそこを上手く修正して通し切ることができた。しかし未だ技数が8技と少ないので今後はこのベースを崩さず、Dスコアの向上に努めていきたい。

2番手…小澤
全日本インカレと同じ構成で臨んだ。全体として大きなミスはなく、現状のベストの演技ができた。しかし手ずらしや倒立のキメなどの細かい減点箇所が目立つので、0.1を拾う意識を心掛けて練習していきたい。

3番手…小田切
全日本インカレと同じ構成を実施した。この種目に苦手意識はなかったが、形が確立していないグループⅢでのミスが目立った。鞍馬同様技に対する理解が深められていないため、そこを重点的に取り組んでいく。

6種目め…鉄棒
1番手…小澤
全日本インカレと同じ構成で臨んだ。中盤までいい実施をすることができたが、終末技で回転不足により転倒してしまった。下り技にはまだ苦手意識があるので、単発で下りの形を修正する練習と通しの最後に下りをかける練習を並行して進めていきたい。

2番手…小田切
安定した実施が行えていた種目だったため、細部まで意識した演技を実施しようとした。序盤は落ち着けていたものの、チェコ式車輪のケステで倒立を狙いすぎてしまい回転が足らず落下、終末技では伸身姿勢を見せようとして転倒してしまった。鉄棒では空中感覚不足が見られるため、毎回同じ形で技を実施できるようにしていく必要があるように感じた。

3番手…伊保内
2週間前の指の脱臼から復帰早々であったため、心配な種目であったが、キャプテンとしての意地を見せほぼ完璧な演技で試合を締め括った。来年はチームの主軸ともなってくる種目であるため、引き続き強化を図りたい。

今大会は、来年の試合に向けた再出発となる試合であった。1ヶ月間試行錯誤した結果が良くも悪くも現れ、振り返るきっかけにもなった。今大会で得たものを個人の中のみならずチームと共有し、「チーム慶應」として来年に向けて進んでいきたい。
伊保内は、全日本インカレにて出たチームとしての改善策を背中で見せた試合となった。どんな試合でもどんな会場でも変わらぬ演技を行う為にはどういった練習を行う必要性があるのか。そういったところを今後もチームメンバーと共有し、点数の底上げを行っていきたい。
西尾は、今大会に来年度に向けて基盤を固めるといった意味合いを持たせて臨んでいた。しかし、出場した2種目のどちらでも大過失をしてしまい、今後の練習の方針を見つめ直す必要性を感じる結果となった。現在の演技では目標に対してDスコア、Eスコア両方とも不足しているため、点数が最も向上する良い塩梅を的確に捉えた練習を行っていきたい。
小澤は、今大会は全日本インカレからの1ヶ月間の練習の振り返りともいえる試合であった。構成自体は大きく変えなかったが、全日本インカレよりも0.1を拾いにいくような姿勢を見せられた試合ができた。しかし、最終種目の最後の技で大過失が出てしまい、詰めの甘さが見えた。今後は、まずは現在の通しでEスコアを安定して8点台に乗せるための演技のベースを作り、その中にDスコアを上げるべく新技を組み込んでいく方針で練習を重ねていきたい。
釜屋は、今大会を出場種目全てでEスコアを8点台に乗せることを目標にして臨んだ。結果として、つり輪ではその目標を達成することが出来なかったが、限りなく8点に近い点数をマークすることができ、あん馬と平行棒では8点台中盤の点数をマークすることができた。今大会を通じて通しのベースを確立することができたので、来年に向けてこのベースを崩さずDスコアの向上に努めていきたい。
黒沢は、ほぼ全日本インカレと同様の通しを行ったが、対抗戦特有の緊張感から大過失が2つも出てしまった。いつもと大きく異なる器具環境からの不安もあり、思い切って演技できなかったことも課題であると思われる。今冬は全日本インカレの構成を完璧に仕上げて通しの幹を作り、基礎動作の定着に徹底して練習を進めていきたい。
小田切は、全日本インカレで失敗が出た種目に出場し、成功体験を得る目的も含めた試合であった。しかし、全ての種目において大過失が出てしまい悔しい結果となった。2ヶ月後には新人戦が控えているため、再度練習を見直し、安定した演技を実施できるよう努めていく。

(記:伊保内啓佑、西尾颯馬、小澤智也、釜屋有輝、黒沢星海、小田切伊織)

続いて、女子個人観戦記をご報告いたします。
女子個人…稲垣香花(商2)、森千紗(法法2)

1種目め…跳馬
1番手…森
転回1回ひねりを実施した。ひねりをかけ始めるのが早く、手の突きの勢いを上手く活かせず距離がでない実施となった。今後は練習している抱え込みツカハラを試合で使えるよう努めていきたい。

2種目め…段違い平行棒
1番手…森
以前の構成に、振り上げ倒立と車輪を取り入れた演技で臨んだ。振り上げ倒立は角度減点なく上げることができたが、その後に続く高棒への移動は高さの足りない実施となった。落下減点を見越して取り入れた車輪は、今までで一番良い出来ではあったが停滞や膝、爪先への意識等足りないところが多々あるため、引き続き努力を重ねていきたい。

3種目め…平均台
1番手…森
東日本インカレと同様の構成で臨んだ。演技中盤の倒立前転で落下があったものの、その後は切り替えて最後の伸身前宙は着地までまとめることができた。今後は前宙上がりを復活させるとともに現状の演技に磨きをかけていきたい。

2番手…稲垣
全日本インカレと同じ構成で臨んだ。序盤の動きと側宙で落下してしまい、全体的にふらつきの多い実施となった。ふらつきのない演技を実施できるよう今後も引き続き練習を重ねていきたい。

4種目め…床
1番手…森
今大会から新たな振り付けで臨んだ。また、抱え込み前宙から屈身前宙のシリーズも新たに組み込み、今までとは一新した演技構成だったが、かなりまとまった演技をすることができた。今後は練習段階の後方2回ひねりをはじめ、ひねりの数を増やしてDスコアの向上に努めていきたい。

2番手…稲垣
全日本インカレと同じ構成で臨み、全体的にまとまった演技となった。今後は後方1回半ひねりと前方1回ひねりを構成に入れられるよう努めていきたい。またカデットジャンプの完成度も上げていきたい。

今大会は、昨年この大会で初めて慶應義塾の一員として演技をしてからこの一年でどれだけ成長できたのかを発表するという、女子器械としては大きな意味のある一戦であった。今大会の反省を踏まえ、次の新人交流戦、霜月杯にて更なる進歩を見せられるよう日々練習を重ねていきたい。
稲垣は、平均台とゆかの2種目での出場だった。全日本インカレから構成が変わっていないものの、平均台においては大過失が2つも出てしまった。11月に行われる交流戦に向けて、今後は演技の完成度を高めつつ、新技を構成に組み込めるよう努めていきたい。また今回出場していない残りの2種目に関しては、自信を持って演技が行えるよう練習を重ねていきたい。
森は、ゆかと段違い平行棒で新技を取り入れた挑戦の試合であった。結果として収穫があったがその反面、以前と変わっていない部分に焦点が浮き彫りになったように感じる。今後は、ミスなく今の通しを行えるように、また今回多くでてしまった大過失を無くせるように練習を積んでいきたい。

(記:稲垣香花、森千紗)

最後になりましたが、今大会にはご多忙の中、三木康弘監督(S52)、塚田治夫会長(S47)、新美啓之先輩(S40)、関和男先輩(S43)、松平定紀先輩(S51)、加藤直之先輩(S56)、村本宜彦先輩(S60)、田口洸太郎先輩(H28)、山﨑広輝先輩(R3)、福岡由唯先輩(R4)、保護者の皆様にご観戦いただきました。この場を借りてお礼申し上げます。