第71回慶同対抗体操競技定期戦大会 観戦記

2022年9月18日(日)、慶應義塾大学日吉キャンパス蝮谷体育館にて行われました、第71回慶同対抗体操競技定期戦大会の観戦記をご報告いたします。
関係者の皆様は、For OBOG のページから動画も見られますので、是非そちらと併せてご覧になってください。

まず初めに男子団体観戦記をご報告いたします。

男子団体…泉颯真(法3)、伊保内啓佑(政2)、浦口優(商2)、小澤智也(文1)、釜屋有輝(政1)、黒沢星海(理1)、立花陽空(法1)

1種目め…ゆか

1番手、黒沢
インカレに比べ、様々な技を新たに取り入れ臨んだ種目であった。1節目と3節目の前向き着地で大きく後ろに動いたり、終末技で転倒してしまったりと、全体的に着地の乱れる演技となってしまった。しかし、Dスコアを急遽上げた中で最後まで通し切れたことは自信につながった。今後も新技を取り込みつつ、演技としての完成度を磨いていきたい。

2番手、立花
今回は、インカレから構成を変えずに挑んだ。1節目のルドルフの着地で詰まってしまい、前のめりになったが、大過失なく終え、種目別2位入賞を果たした。次の新人戦ではDスコアを上げて臨んでいきたい。

3番手、浦口
今回は、1節目にルドルフを取り入れた新構成で臨んだ。完成から日が浅い技であったが、着地まで上手くまとめることができ、種目別優勝にふさわしい演技を披露することができた。今後は、Dスコアの底上げと安定した着地を課題として取り組んでいきたい。

4番手、伊保内
今回は先月の全日本インカレからDスコアを0.4上げて挑んだ演技であった。体力的にも苦しくなった中、最終節まで着地を狙いに行く演技ができた結果、種目別3位入賞を果たした。今後はクオリティに更なる磨きをかけていきたい。

2種目め…あん馬

1番手、黒沢
インカレでは落下しそうになる場面を乗り越え通し切ったものの、演技の丁寧さを欠いていたため、今回は足先や旋回の高さなどを意識した。基礎練習の成果もあり、セア系でのつま先の高さや旋回の大きさなどは改善することができた。だが、重心が安定せずに落下したり足が割れてしまうことが多くあるため、演技の中でEスコアを伸ばしていく体力と安定感を身に着けていきたい。

2番手、泉
今回は全日本インカレでの雪辱を果たすべく、あん馬への出場を決めた結果、無事に通し切ることができた。また、種目別第2位入賞に相応しい堂々とした演技をすることができた。今後はもっと技を増やしていき、苦手種目ではあるが、チームに貢献できる種目にしていきたい。

3番手、立花
今回は、旋回の腰の高さを意識して演技を行った。しかし演技終盤になるにつれ、旋回のリズムが崩れていき腰曲がりや膝曲がりが目立つ演技となった。また、2技目のCセアで足が引っかかってしまい大きな減点となった。今後は基礎練習でのセアや旋回でも質を意識して練習していきたい。

4番手、浦口
今回は、東日本インカレぶりにDフロップを取り入れた構成を予定していたが、バランスが崩れてしまいシュテクリBとなってしまった。しかし、実施する予定では無かったDコンバインを急遽実施することで対応できたことから、日頃の基礎練習の成果が出た演技であったと言えるだろう。また、種目別優勝を果たすこともできた。今後は安定性に注力して練習に臨みたいと思う。

3種目め…つり輪

1番手、泉
あん馬と同様、全日本インカレで失敗をしてしまったので出場を決意した。特に大きなミスをすることなく演技ができたのは良かったが、昨年から構成が変わっていないため、来シーズンは必ず点数を上げられるように練習を重ねていきたい。ただ、種目別第3位入賞に相応しい丁寧な演技をアピールすることができた。

2番手、小澤
今回は全日本インカレで実施できずに悔しい思いをした前方抱え込み2回宙返り下りを終末技に取り入れた演技構成を行った。この技は練習では通しで立ったことはなく、単発でも成功率は5割を下回る程度でかなり不安を抱えて臨んだ。しかし本番ではなんとか成功させることができ、種目別でも2位に入賞し、自信に繋がった。しかし着地まで取りに行けるほど熟練度は高くないため、安定性を上げると共に、Dスコアを上げるためにより難しい技を構成に組み込むことの必要性を感じた。

3番手、立花
今回は、肩の調子が悪くあまり調整ができないまま演技に臨む形となった。2技目の十字懸垂、その次に行うジョナサンとヤマワキの質がインカレよりも落ちてしまいEスコアが全く伸びなかった。しかしこれを引きずるのではなく、まずは体のメンテナンスを優先していきたい。

4番手、浦口
今回は、新しく振り上がり上水平を取り入れ、ほぼ完璧に実施することができた。また、その後の演技もうまくまとめ、種目別優勝することができた。来年度に向けて、力技の底上げと下り技をD難度にすることに取り組んでいきたい。

4種目め…跳馬

1番手、釜屋
全日本インカレ同様、アカピアンを跳躍した。着地までまとめ、種目別2位入賞を果たしたものの、着地前の腰折れが目立った。来年に向けてドリックスを跳躍するにあたり、この腰折れを少しでも改善していけるようにしたい。

2番手、伊保内
全日本インカレから難度を上げ、ドリックスを跳躍した。立つことこそ出来なかったものの、初めて試合で跳ぶことが出来たのは収穫となった。種目別3位入賞したものの、着地の失敗が悔やまれる内容となった。

3番手、立花
全日本インカレと同じく、シューフェルトに挑戦した。過去最高の実施をすることができ、種目別跳馬で優勝を果たした。Eスコアでも9.15という高い評価をもらえた。これを自信にしていきつつ、種目別のためにもう1つの技も揃えていきたい。

5種目め…平行棒

1番手、黒沢
倒立のキメや手ずらしを常に意識し、細部まで丁寧な演技を心がけた結果、種目別2位入賞を果たした。今後様々な技を取り入れ、Dスコアを上げていく中でも、今回のような意識を忘れず、Eスコアの評価される演技を目指していきたい。

2番手、小澤
今回の構成は全日本インカレとは大きく異なり、中技を最小限にして終末技の後方屈身2回宙返り下りをすることを目的としていた。結果としては回転不足で前に転倒してしまったが、練習でも成功率は高くなかったため、出るべくして出たミスだと受け止めて挑戦出来たことをプラスに捉えたい。ミスしてもなお種目別3位入賞という結果も成長を感じた。しかし中技のDスコア、クオリティ共にまだまだ突き詰められるところがあるので、次の新人戦に向けて戦える構成を作っていきたい。

3番手、立花
今回は、2技目のホンマが練習から不調で、その失敗が本番でも出る形となった。また、ディアミドフで上半身を前にかけすぎたため、足が上手く振り上がらず落下した。平行棒に関しては、前回の全日本インカレでも失敗が出てEスコアが出なかった種目であったため、どこか不安があった。まずは、苦手意識をなくすため基礎の練習をこの冬で積んでいきたい。

4番手、釜屋
構成自体は全日本インカレと同様であった。序盤のカットでバーに足を引っ掛ける痛恨のミスがあったものの、そこからは落ち着いて最後まで通すことが出来た。今回のミスに対してはあまり悲観的にならず、来年へのDスコアの向上に努めていきたい。

6種目め…鉄棒

1番手、泉
コスミック〜ヤマワキの流れは良かったが、逆車で振り戻ってしまい、また、全体として落ち着かない演技となってしまった。演技構成も変えることができておらず、もっと技を増やしていかなくてはならないので、今後は新技にも積極的に取り組んでいきたい。

2番手、小澤
今回はアドラーを抜き、代わりに閉脚シュタルダーと閉脚エンドーを新たに取り入れた構成で臨み、大きなミスなくこなして種目別2位に入ることができた。短期間でこの2つを仕上げて試合で使うことができたのは良かったが、どちらも足が鉄棒に擦るような実施になっており、改善の余地があると感じた。今後はアドラー系や伸身トカチェフに取り組んでより一層得意種目を伸ばしていきたい。

3番手、釜屋
今回はアドラー1回ひねりと開脚トカチェフを新たに取り入れた攻めの演技で臨んだ。どちらの技も最近になって安定し始めてきた技で、改善の余地がまだまだたくさんあるので、まずはこの演技構成を安定させ、ゆくゆくはDスコアを5点台に乗せられるようにしていきたい。

4番手、立花
演技中にプロテクターが切れて演技中断となったため3番手から4番手へと変更となった。
コスミックでプロテクターが切れるというアクシデントがあり急遽、演技を変えて挑んだ。慶應や同志社の部員が落下した後も応援をしてくれたため、焦らずその時できる最低限の演技をすることができた。しかし、鉄棒も平行棒と並んでひとつひとつの技の完成度が低いため、新しい技を練習すると共にEスコア向上を意識して練習していきたい。

今大会は早慶戦に並ぶ、同志社大学との歴史ある大会であった。来年に向けて、新技を取り入れてこの試合に臨む選手も多く、全日本インカレからの成長を多くの方に見せることが出来た。
泉は、全日本インカレで失敗をしてしまったあん馬とつり輪に加え、鉄棒にも出場した。内容としては、どの種目も特に新しいことができていないので、今後は来シーズンに向けて新技の練習などをし、見違えるような成長を見せられるように練習をしていきたい。
伊保内は、全日本インカレからDスコアを大幅に上げて臨んだ今大会であったが、仕上がり切っていない部分が目立った内容となった。しかし、来春に向けて好スタートを切れたことは評価して良いだろう。
浦口は、インカレから一新した構成で試合に臨んだ。あん馬で少し慌てる場面があったものの、出場した3種目全てで優勝することができた。来年度の試合に向けて課題であるDスコアの底上げと、何処でも評価されるような「こなし」を意識して練習に努めていきたい。
小澤は、出場した全ての種目で新しい技に挑戦し、平行棒でミスが出たものの実りのある試合ができた。結果として、出場種目全て3位以内に入ることができ、自信を深めることができた。今後は今回出場しなかった種目も含めてDスコア、Eスコア両方の底上げに取り組んでいきたい。
釜屋は、今大会を通して今後の自信に繋がる演技ができた。それもあって跳馬では2位、平行棒、鉄棒では優勝という結果を残すことが出来た。特に鉄棒では新しい技を2つ取り入れ、通し切ることが出来たのでとても良い経験となった。今後はこういった自信のある種目を軸に、6種目全てをコンスタントに通せるようにしていきたい。
黒沢は、全体的に耐える場面の多い試合となった。大過失に近い減点が多くあったが、そこで大過失を出さないように踏みとどまれる体力や精神力が日々の基礎練習の中で育まれていると感じた。ゆかはDスコアを上げたものの他の選手と比べて、未だ届くような演技ではないため、6種目等しく難度を上げていけるように基礎固めを今冬徹底していきたい。
立花は今大会、個人総合に唯一出場した。インカレが終了した後、基礎の練習が多くなり体格も変わり、中々練習が思うようにいかない日が続いた。そんな中で挑んだ試合で失敗が多く続いてしまったが、自分を応援してくれる部員や同志社生、OBOGの方々がいてくれたため改めてもっと上手くなりたいという気持ちが強くなった。次の試合は12月の新人戦だが、あくまで来年のための通過点として、たくさん新しい技にチャレンジしていきたい。

(記:泉颯真、伊保内啓佑、浦口優、小澤智也、釜屋有輝、黒沢星海、立花陽空)

続いて女子個人観戦記をご報告いたします。

女子個人…稲垣香花(商1)、森千紗(法1)

1種目め…段違い平行棒

1番手、稲垣
今回は種目別第3位に入賞できたが、練習ではほとんど失敗がなかったともえで手が外れてしまったことが悔やまれる演技となった。今後は安定した演技が行えるよう基礎的な練習を重視しつつ、Dスコアを上げるために新しい技も練習していきたい。

2番手、森
今回目標としていた、全ての技を繋げる演技を行うことができた。種目別第2位に入賞できたものの、膝やつま先を伸ばすなど、細かいところに気を配る演技ではなかったため今後はそれを改善しつつDスコアを少しでも上げられるよう努めていきたい。

2種目め…平均台

1番手、稲垣
今回は早慶戦と同じ演技構成で実施し、前回よりも安定性はあったものの、ジャンプ系の開脚度の不足や技の落下など前回と同様の課題が見つかった。今後はジャンプ系の改善をし、アクロバット系の連続や2回転ターンなどが実施できるよう努めていきたい。

3種目め…ゆか

1番手、稲垣
今回は大きな過失なく演技を通し切ることができた。しかし、動きがまだまだ硬いのでこれからもしっかりと練習を積んでいきたい。また、今後の大会では一般規則の構成要求を満たせるよう新たな技の習得に努めていきたい。

2番手、森
今回試合で取り入れた3本のアクロバットのうち2本は直前に完成した技であったため不安があったが、無事通しきることができ自信に繋がった。しかし、以前から指摘されていた動きの部分で正確な実施を行えなかったので今後はジャンプやターンなどの動きを重点的に練習していきたい。

4種目め…跳馬

1番手、稲垣
今回跳躍が2本あったが、1本目は脚の振り上げが弱く、着地で失敗してしまった。そのため、2本目は脚の振り上げを意識して上手く着地ができた。種目別第3位に入賞したが、2位の選手とのDスコアにかなりの差があったので、今後のDスコアを上げるために、まずは助走や脚の振り上げ、手の突きなど基本的な部分の改善をしていきたい。

今大会は、早慶戦に続いて器械女子にとって二度目の大会であった。同志社大学の選手たちから多くのことを学び、良い刺激を受けることができた。今後はDスコア、Eスコアをともに伸ばせるよう練習を頑張っていきたい。
稲垣は、大学に入って初めて全4種目に出場した大会であり、個人総合で第3位に入賞した。しかし、2位の選手との得点差が大きかった。この差を少しでも縮められるように今後の練習を頑張っていきたいと強く感じた。また、同志社の選手たちと交流し、有意義な時間を過ごすことができた。
森は、大学に入って初めての演技であり、大きな過失を出さずに通しきることができた。今回の対抗戦は私にとって実力差のある相手校の選手から多くのことを学ぶ事ができ、また、励まし合う仲間ができる、とても有意義なものであった。今回得たことを糧にDスコアの向上、そして綺麗な演技を行えるように練習していきたい。

(記:稲垣香花、森千紗)

最後に、今大会のエキシビジョンを務めてくれました、トランポリンの3人から今大会への感想を述べさせて頂きます。
岡﨑は、新技のタックフルインフルアウトを入れた構成で臨んだ。1本目をベッドの中心で決めたが、2本目で大きく後方に移動した。3本目でベッドの中心に戻したが、4本目~7本目まで移動が続いた。また、7本目を予定していたパイクルディーアウトからタックバラニーアウトに変更した。続く8本目でベッドの中心に戻したが、9本目・10本目で回転不足のため膝が曲がってしまった。通し切ったものの、アウトバウンスで後方に移動し、ブルーマットに着地してしまった。今回のエキシビションは、同志社の部員や、多くの先生・OBOGの方々に演技を間近で観戦していただく貴重な機会となった。そのような中で、難易度の高い3回宙返りや新技を入れた構成を通し切れたことは、自信につながった。一方で、演技中盤の種目変更や、着地でのミスなど、まだまだ改善できる部分も多くあったため、今後も技の精度と安定性を磨いていきたい。
上田は、ミラー(後方伸身2回宙返り3回ひねり)とパイクバラニーアウトトリフィス(前方屈身3回宙返り半ひねり)を行った。どちらも練習で行っている通りの演技ができたため、普段の練習の成果をOBOGの皆様に披露することができ、大変喜ばしい結果となった。普段の大会とは異なる緊張感の中での演技であったが、このような経験は滅多にできないため、貴重な経験値として、今後の競技生活に活かしていきたい。
永野は、今回のエキシビジョンはこれまで出場した大会と違い、その場にいる全員の注目を浴びて行うものであったため、いつもの大会とは違った緊張感があった。その緊張から足に力が入らずいつも通りの演技をすることはできなかったが、1週間前の東日本で中断となってしまった通しを最後まで通し切れたことは自信に繋がった。

(記:岡﨑優太、上田乃維、永野祐里)

最後になりましたが、審判を務めていただきました村上涼平先輩(H28)、佐野浩平先輩(R3)ありがとうございました。また、今大会には御多忙の中、田上雅徳部長、塚田治夫会長(S47)、杉本賢治先輩(S37)、山本信一先輩(S39)、山下勝弘先輩(S42)、松平定紀先輩(S51)、加藤直之先輩(S56)、安藤伸樹先輩(S57)、岡﨑隆誠先輩(H6)、本郷恵一先輩(H15)、峯村慶先輩(H15)、佐藤洸輔先輩(H28)、石田駿先輩(H29)、村山聡史先輩(H29)、後藤慶亮先輩(H29)、橋本和樹先輩(H30)、佐々木幸哉先輩(R2)、花岡奈菜先輩(R2)、笹田葉月先輩(R2)、浅見杏樹先輩(R3)、金子航大先輩(R4)、首藤聡史先生、久永将太先生、並びに多くの保護者の方々にご観戦いただきました。またオンライン中継でも、多くの先輩方、並びに保護者の方々にご観戦いただきました。この場を借りて、深く御礼申し上げます。