ヘビーメロウ

こんにちは。本日のリレー日記を担当させていただきます、理工学部物理情報工学科2年の黒沢星海です。

 

『魔法のコトバ 二人だけにはわかる』。

 

とあるうどん屋の店内で私は、聴きなじみのある歌詞とメロディーに気を取られる。先ほどからやけに店内の音楽が気になるとは思っていたが、この時までそれがすべて、とあるバンドの歌であることには気づかなかった。老若男女、世代を問わず現在まで愛され続けている彼らの歌には、夢中で聴き入ってしまう魅力がたくさんある。中でも私がすごいと思うのは、その歌詞だ。キャッチーでポップなメロディーの裏に、深淵のような人生観や死生観が隠されていたりする。時には人に問いを投げかけ、時には人に勇気を与え、時には人に寄り添う。そんな彼らの歌詞は、まさに“魔法のコトバ”なのである。

 

『簡単で凄い 効果は絶大 マッチ一本の灯り』、とまた歌詞が耳に残る。暗闇の中で灯るマッチ一本の明るさはどのようなものだろうと、手前にあった好物のさつまいも天を頬張りながら考えてみる。この天ぷらだって、うどん屋の中で言えば、小さなマッチのような存在であると思った。塩気のある料理が並ぶ中で一人だけ、スイーツのような温かみのある甘さを誇る、ちょっとした特異点である。このちょっとした特異点が私の、食事に対する幸福度を上げてくれる。マッチの灯りも、暗闇の中においてはごく小さな特異点である。一点だけがゆらゆらと光り、目立っている情景が容易に想像できる。だがもし、昼間の、眩しい太陽の下でマッチを点けたなら、どうだろうか。おそらく暗闇において感じていた特異さは、失われているはずだ。同じように、もしたくさんのスイーツがあったとして、そこにスイートポテトがあったら、私はそれを選ぶだろうか。そんな思考に気を取られていると、箸を滑らせさつまいも天を落としてしまった。

 

『幸せは途切れながらも続くのです』。なんだかとても温かい歌詞が聴こえてきて、心が動きそうになる。だが少なくとも今、目の前にあった甘い幸せは途切れてしまった。

 

 拙い文章となってしまいましたが、以上で本日のリレー日記とさせていただきます。ご精読ありがとうございました。