明鏡止水

 皆さまこんにちは。本日のリレー日記を担当させていただきます、環境情報学部4年の上田乃維です。最近は日々の気温がかなり高くなってきております。こまめな水分補給を始めとする熱中症対策にて、なんとか乗り切っていきましょう。

 さて、本日のリレー日記のお題は、「明鏡止水」です。最近自分の中で大切にしている言葉ですので、ぜひこの機会にご紹介させていただきたいと思います。

 明鏡止水とは、辞書的に言えば、澄み切って落ち着いているような状態のことを言います。

 トランポリンにおいて、私がうまくいくときに思い描いているイメージは、明鏡止水のような、澄み切った凪の水面に対して、音も立てずに奥底に力を伝え切るようなものです。頭の中のイメージですので、言葉で表現してもなかなか伝わらないかもしれませんが、水面に波を立ててバシャバシャと弾くのではなく、かといって水沼の奥底に沈み切るわけでもなく、静かに奥底に沈め切ると同時に、自らが出せる最大の出力を押し出して最大の反発をもらうというのが、本当にうまくトランポリンを踏み抜けたときのイメージです。

 トランポリンは10本連続の技をつなげる競技ですので、前の技の体勢の崩れや回転の過不足の影響を大きく受けます。そういった時に焦って踏みにいくと水面をバシャバシャと蹴ってしまう事が多く、そもそも思考もストップしたとても冷静とは言えない状態で10本の通しを続けてしまいます。ここで必要なのが、前の技でどれだけ崩れようとも、それを冷静に判断し、次の技のジャンプでは水面には波を立てず、奥底へと力を伝え切ることができれば、十分にカバーができます。オリンピックに出るような選手や、世界のトップレベルで戦っている選手との1番の違いは、少し前の技でタイミングがずれてしまったり、リズムが崩れてしまった時でも、次の技では冷静に対処し、通し切る力を持っている事だと感じます。

 私は2年生に上がった段階から、一気に難度点をあげた構成に挑み、幾度となく中断と失敗を繰り返し、自分の試合に臨む上でのメンタルを見直したり、構成の難易度を下げようとしたり、さまざまな試行錯誤を繰り返してきましたが、なかなか結果は出せませんでした。4年生の最後に自分が取れる最大の点数を出すため、直近の結果は悲惨なものでも、早く難度点を上げた構成に慣れ、それに磨きをかけていくというのが私の4年間の戦略でした。始める前からその覚悟を持って、失敗しようが自信もなくさず、挫けないと誓って練習を進めていましたが、ここ2年間は大会での成功はほとんどなく、失敗ばかりが目立ち、気づけば練習の通し練習に入る際には、すごく逃げ出したいような気持ちになっていました。今日もどうせ通らないと思いながら通しの練習に向かってしまっている日もあれば、昂った感情に任せて勢いだけで通しの練習に向かってしまっている日もあり、ここにきて振り返ると通し練習の向き合い方にもかなりたくさんの課題があったように思います。

 自分の競技人生も残り4ヶ月となりました。もうできる事も限りなく少なく、改善するべき点と、もう諦めて4ヶ月走り抜くしかない課題点があります。ここからの短い期間での練習の価値はかなり高く、日々の練習での一つ一つの判断はかなり重要な選択になっていくと思います。常に明鏡止水の心を持ち、冷静な判断を下し、後悔のない競技生活となるように過ごしていきたいと思います。

 自分で決意した4年間の戦略と戦い方が後悔に変わらないよう、あの時に良い選択をし、どれだけ苦しくても逃げずに向き合ってきた自分に誇りを持てるよう、残りの期間を全力でトランポリンに向き合いたいと思います。

 拙い文章となりましたが、以上で本日のリレー日記とさせていただきます。ご精読ありがとうございました。