人の夢は終わらねぇ

皆様こんにちは、本日のリレー日記を担当させていただきます、法学部政治学科2年の伊保内啓佑です。春休みに入り、ダラけたい自分と格闘する毎日ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

私は最近、某動画配信サービスにて配信されている映画『TENET』を何度も見直しています。この映画はタイムトラベル系のSF映画なのですが、ある事をすると時間を逆行できるという世界線のストーリーで、一度では絶対に理解できないと言われるほど難しい内容になっています。今回はこの映画を基に私が考えていることを少しお話しできればと思います。

通常のタイムスリップ系物語、例えば『Back to the Future』などでは現在から過去に飛んでいき、世界の時間の進み方というのはずっと一定という場合がほとんどです。しかし、『TENET』はある装置に入ると時間の進み方そのものが逆転するという世界線の話で、それこそがこの物語の最大の特徴なのです。
タイムスリップができる世界において、Aさんが過去に戻ってその親を殺害するとします。親が死亡するため、そもそもAさんは生まれてこないことになります。Aさんが生まれてこなければ、その親を殺害する人もいなくなるため、親は生き続けます。その結果、Aさんは誕生します。Aさんが誕生すると、また親を殺害しに行く、というタイムパラドックスが発生してしまいます。その解決策として、考えられたのが「多元宇宙論」通称パラレルワールドというものです。
タイムスリップ系物語では必ずパラレルワールドが生まれます。つまり、ある時点から自分の過去を改変しようと過去に戻ってお金持ちになろうとしても、戻った先の自分がお金持ちになるという新しい未来が生まれるだけで、現在の自分がお金持ちになれるわけではないのです。
一方で『TENET』の世界はどうかと言うと、パラレルワールドは発生しません。過去の改変または上書きが可能なのです。例えばBさんが競馬を当てたいと思い、時間を逆行し、過去の自分に競馬の結果を教えに行った場合、Bさんはパラレルワールドにおいてではなく、実際にその世界でお金持ちになれます。しかし、ここで一つ疑問が生まれます。過去の自分に教えているわけだから、現在の自分にはその教わった記憶があるはずじゃないかと。そう、Bさんは過去に、未来のBさんから教わっているのです。勘のいい方ならこの時点で気付くと思いますが、この世界では因果関係が逆転します。Bさんは過去に、未来の自分から教わり、競馬を当てるという結果を知っているため、その原因を作りに、時間を遡り、過去の自分に教えに行かなければいけません。この原因と結果の逆転こそが『TENET』を難しくしている一番の原因なのです。

さらに面白いのが、意思決定をしているのは自分自身であるのに、あたかも最初からそうなる事が決まっていたかのようになっている点です。前述した競馬の例でも、未来の自分が結果を教えに来ることを、現在または過去の自分は知りませんでした。これはある種の運命決定論的な世界であると言えるでしょう。この世の世界線がただ一つだとするなら、未来の「誰か」が逆行して、改変した過去も全て織り込み済みであるこの世の中で、今我々は生きていることになります。もしかすると、これまで自分が成功を収めてきたことは、未来の自分のおかげかもしれませんね。現在の自分が思えば、未来の自分が過去に戻り、現在の自分を変えてくれているかもしれません。夢は思い続けなければ叶いません。思い続ければ、未来の自分がいつの間にか過去を変え、気付いたら「今」が変わっているかもしれません。
そういった意味で、自分が叶えたかったり、達成したい目標を、願い続け、思い続ける大切さ、というものは計り知れませんね。皆様も、今ある「夢」や「目標」をどうか諦めないでください。

伝わりづらく、纏まりのない文章となりましたが、以上で本日のリレー日記とさせていただきます。ご精読ありがとうございました。